人手不足がトラブルを招く
起こり得るトラブル
人手不足によって、それぞれの患者に対して十分な処置ができなくなる可能性があります。まず、入院時の対応が追い付きません。欧米諸国では、100病床に対して100人以上の看護師が配置されているケースが多いです。しかし日本はその半分以下の人数です。こうなると、患者への処置が行き届きません。また、人手不足で業務が回らないため、経験を十分に積んでいない若手看護師に重要な業務を任せることになります。すると、医療ミスの可能性が上がります。
これまでは患者対看護師の割合が「10:1」の看護体勢が一般的でしたが、厚生労働省は質の高い医療を実現するために「7:1」の看護体制を推し進めました。その結果、7:1を実現した病院では看護師の負担が軽減されました。しかし、それができるのは待遇を良くして人材を確保することができる資金力のある病院に限られた話です。むしろ、中小規模の病院は看護師が流出することで今までよりも人手不足になりました。7:1の看護体制は質の高い医療を提供するにあたっては有効な手段ですが、そもそも看護師の母数が足りていないという問題があります。これは、患者の受け入れ体制にも影響してきます。病院側で対応しきれないので、受け入れ拒否や患者のたらい回しが発生します。患者を受け入れたくても、体制が整っていないがゆえに受け入れられない事情があるのです。特に地方の病院は、看護師の不足によって医療体制が崩壊する危険性を孕んでいます。
どういった改善策があるか
看護師は安定した給料など多くのメリットがある仕事ですが、一方で労働条件が厳しいのも事実です。最近は、このような状況を改善するための動きが活発になっています。例えば、「研修制度の充実化」「院内託児所の設置」「職員の医療費減額・無料化」「電子カルテ導入による業務効率化」といったものです。
その中でも特に注目すべきなのが「リフレッシュ休暇制度」です。一般企業でも取り入れているところが増えてきましたが、これは法律で定められている休日以外に独自に設ける休日のことです。そのため、休日の日数や条件は導入している病院ごとに異なります。リフレッシュ休暇がなくても違法ではありません。それでもこの制度を導入するのは、十分な休暇を与えることで看護師のモチベーションが上がり、結果として病院にとってプラスになるからです。メンタルヘルス対策としても有効なため、看護師の心身を良好な状態に保つことができます。こういったメリットを理解したうえで導入しているので、この制度がある病院は休日が多いだけではなく他の病院と比べて働きやすい雰囲気があります。
CATEGORY:人手不足による負担を軽くする取り組み
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